日記

memento mori

【和訳シリーズ】Amino acid supplementation improves muscle mass in aged and young horses を和訳してみた

元記事はこちら。

https://www.animalsciencepublications.org/publications/jas/pdfs/83/12/0832783

 

訳はこちら。

 

<Abstract>

この研究の目的はaging horsesの筋組成をサポートする機能を持つアミノ酸摂取の効果を測定することである。light horse typeの16歳の馬は年齢、食事の面で2×2の配列で4つに分けられた。研究の間、馬に14週間規則的な食事と運動をさせた。体重、ボディコンディションスコア、血液サンプルを2週間ごとに測定した。血液は全タンパク質、アルブミンクレアチニン尿素アミノ酸プロフィール、メチルヒスチジン、硫化アミノ酸を調べた。馬の写真を実験前後に撮り、それらを筋組成スコアを1~5に分別するために使った。食事療法による体重の差異はなかったが、Sグループは増量、Nグループは減量の傾向があった。そして、繰り返し行われた測定では、BCSは高齢になるにつれて低くなることがわかった。若い馬は。対象となる筋組成スコアは、実験開始時と変化はなかったが、実験終盤にはNグループと比べた結果、Sグループは変化した。血中クレアチニンは増加し、硫化アミノ酸はSグループで減少した。初期メチルヒスチジン濃度は有意差はなかった。しかし、実験後にはNに比べSが低かった。血中リジン、トレオニン濃度はNよりSの方が高かった。メチルヒスチジンと硫化アミノ酸濃度はリジンとトレオニンと消極的ではあるが関連していた。これらのデータではアミノ酸を摂取した馬は年齢にかかわらず筋組成を改善することができることを示した。

 

<Introduction>

馬が高齢化すると共通の現象として筋量の減少が起きる(Booth et al.,1994)。この現象は活動量の低下、欠けた歯、タンパク質の消化能力の低下がある高齢馬に見られる。タンパク質消化能力の低下は高齢馬の食餌タンパク質必要量を増加させる。このニーズに応えるために、CP量は増加され、それは代謝に悪影響、もしくはタンパク質の質改善される、アミノ酸が補給される。このように、アミノ酸補給は筋量を維持するために十分なアミノ酸貯蓄を保証し高齢馬のタンパク質状態を改善する可能性がある。これは高齢馬の活力や体力をより長く維持できるようにする。

この研究の目的は高齢馬のアミノ酸摂取の最小化が筋量の低下を生み出すかどうかを決定づけるものである。

 

<対象と方法>

・馬                                                     

16頭の馬を4つのグループに分ける。年齢、アミノ酸サプリの有無によって。馬は制限された区域で飼育される。また、実験中定められた運動を行う。

プロトコル動物愛護団体とヴァージニア~によって認可された。

 

・運動

運動は主に大学の乗馬プログラムに則って行われた。記録は馬の番号とタイプを決めるのに使われた。データはそれぞれの馬の動きの量とタイプの濃度を決めるのに使われた。実験中の4回(0,5,9,14w)、馬はSETを攻略した。SETは1.5m/sで5分間歩行、3.5m/sで5分間速歩、7m/sで3分間走行、3.5m/sで5分間速歩、7m/sで3分間走行、1.5m/sで5分間歩行で構成された。走行速度は大学の授業を参考に決められた。乗馬エリアの周囲計は測定され、ペースを維持するのに最適な時間が設定された。騎手による違いを防止するためにすべての馬に同じ人が乗った。

馬には運動強度をモニタリングするためにハートレイトモニターが装着された。

 

・食事

チモシー、オーチャードグラスという牧草が混ざった一般的に販売されているものを1日3回与えた。希釈したコーンシロップをアミノ酸サプリと牧草に混ぜ、Sグループには消費量を把握するために直接手で与えた。Nグループにも同量のコーンシロップを与えた。馬小屋におよそ体重の1.8%の飼料と0.5%の穀物をそれぞれ準備した。穀物と干し草の拒否を測定し、記録した。

 

・分析

BW、BCS、血液サンプルは2週間ごとに測った。血液サンプルは朝食摂取後3~4時間で採った。体重は電子計で計った。血液は全体の血液から分離し、TP、アルブミンクレアチニン、PUNを分析した。最初と最後の血液サンプルは、3MHと硫化アミノ酸含有濃度も分析した。アミノ酸分析はHPLCを用い、Miller-Graberの提唱する手順で行った。馬の写真は実験開始時、終了時に撮った。これらのデータは筋量の視覚的変化を評価するために用いた。

 

・統計

食事とTP、アルブミンクレアチニン、PUN、心拍数、体重、BCSの加齢による影響は反復測定とともに混在したモデルを使って分析した。高齢、食事、食事と高齢、避けられない誤差馬と高齢と食事。馬は高齢の影響を試験するために使われ、方法はTukey testと比較された。食事と高齢、アミノ酸摂取の影響、血中アミノ酸濃度、BCS変化、体重変化、筋組成スコアをANOVAで測定した。

 

<Result>

すべての馬が実験期間中において健康を保った。穀物、干し草、すべての餌の摂取にグループ間で差はなかった。Sグループでリジンとトレオニンを除いて必須アミノ酸の摂取量の差もなかった。なぜならリジンとトレオニンは餌に含まれているから。穀物摂取、干し草摂取、すべて摂取においてアミノ酸摂取のグループと同じように、高齢と食事には相互作用はなかった。馬は実験中、一定の運動のレベルを維持した。

反復測定の結果、食事、加齢による体重の有意な変化はなかった。しかし、Sグループは増量傾向があった。実際、Nグループは減量した。BCSは若い馬と比べ、高齢の馬で減少した。BCSはNに比べSで減少した。BCSは高齢と食事による影響は受けない。筋組成スコアは食事による変化は見られなかったが、Nに比べるとSが増加した。筋組成スコアの変化はSが大きかったが、加齢と食事の相互作用はなかった。

血中アルブミン、TPに有意な変化はなかった。加齢と食事の相互作用は血中アルブミン、TPにおいて観察されなかった。アルブミンとTPの値は普通の馬の範囲だった。血中クレアチニン、PUNは加齢もしくは加齢と食事の相互作用による影響は受けなかった。クレアチニンはNよりもSで増加した。しかし、PUNはSのほうが低かった。3MHを含む血中アミノ酸は実験開始時と有意な差はなく、加齢、食事、加齢と食事の相互作用による影響もないと言える。血中リジンとトレオニンはNと比べるとSの方が多かった。結果的に、3MHはNよりもSで低かった。血中リジン、トレオニン、3MHは加齢による影響を受けない。また、加齢と食事の相互作用も受けない。そのほかのアミノ酸濃度(アルギニン、ヒスチジンロイシンイソロイシンフェニルアラニンメチオニン、バリン)はノーマルレンジだった。

3MH濃度とリジンとトレオニン摂取にはネガティブな相互関係があることがわかった。血中における3MHとPUNの濃度にはポジティブな相互関係があった。最後に、血中PUN濃度はリジンとトレオニン摂取とネガティブな相互関係があった。

 

<Discussion>

この実験の結果は、馬において筋量の低下がアミノ酸摂取によって抑制される効果があることを示している。憶測として、食事のアミノ酸摂取のバランスが改善されると、筋量の低下に歯止めをかけることになるのだろう。この結論はBCSの低下、筋組成スコアの増加によるものである。PUNと3MHの低下という結果は、これらの結果と繋がっている。

筋量を維持するために、適切なアミノ酸摂取が必要である。アミノ酸貯蓄は食事摂取、肝臓でのアミノ酸合成、筋における異化作用によって維持されている。また、運動による筋の修復、維持の刺激が必要である。加齢によるタンパク質消化率の低下は不健康な歯、寄生虫によるダメージ、もしくは両方を引き起こし、適量のアミノ酸摂取を困難にするかもしれない。食事のアミノ酸摂取を改善することは必須アミノ酸アミノ酸プールの十分なレベルを保持するためのアミノ酸補給の役割を果たす。これは筋量維持の能率を改善するはずである。必須アミノ酸を供給することは、豚のリジン合成についての論文にあるように遊離アミノ酸が容易に吸収されることや結合したタンパク質よりも吸収されやすい(Batterham、1978)。リジンとトレオニンのサプリメントは食事によるアミノ酸プロフィールを改善した。

体重は健康と活力の指針であり、BCSは体脂肪蓄積の指標である。体重はBCSと関連付けて考慮されるべきである。Sの体重の変化は。BCSの減少は体脂肪の減少を示す。体重の増加がない場合、筋量の増加を示す。

 

 

<Implication>

およそ20%の馬が高齢とみなされている。よりよいタンパク質の補給は筋量をサポートし、馬の有用性をより長くする。これらのデータは運動している馬はリジンとトレオニンを追加で摂取する必要があることを示している。この実験の結果から、成熟した運動する馬のアミノ酸の必要性は完全には定義されず、さらなる研究が求められることは明白である。馬の筋アミノ酸プロファイルと食事のアミノ酸プロファイルの関係性は一層注目が集まることが予想される。

 

この論文のここがすごい!

高齢者はアミノ酸を摂取せよ!?

この論文の着眼点は、アミノ酸摂取を筋量維持・筋組成改善と結びつけたこと。

そしてそれらは高齢者の筋力低下と結びつく。

これからの高齢化社会には、非常に重要な視点である。

問題は、論文中にある”運動”が馬にとってどのぐらいの強度なのか。

中高強度なら、高齢者にもそれなりの運動量が求められるわけで、このへんを誰か馬のトレーニングに詳しい人に聞いてみたい。

 

【総論】

アミノ酸が高齢化を支える未来

どうやら、アミノ酸を摂取することで高齢による筋量の低下を抑制できるらしい。

これは非常に明るい話だ。

問題は、本当に(実感できるレベルで)筋量を維持するには、どのぐらいの強度の運動が必要で、どのぐらいの量のアミノ酸を摂取すればよいのか、という点。

今後のさらなる研究に期待したい。