日記

memento mori

【和訳シリーズ】Effect of exercise on concentrations of free amino acids in pools of typeⅠ and typeⅡ fibres in human muscle with reduced glycogen stores を和訳してみた。

元記事はこちら。

Effect of exercise on concentrations of free amino acids in pools of type I and type II fibres in human muscle with reduced glycogen stores - ESSÉN-GUSTAVSSON - 2002 - Acta Physiologica Scandinavica - Wiley Online Library

 

 

こちらもAbstractのみしか無料では読めないようで、それ以降は有料のようです。

なので、残念ながら、Abstractのみの訳になります。

 

Abstract

 いくつかの動物の研究では、アミノ酸濃度は筋線維タイプによって異なるということがわかっている。この研究では、アミノ酸濃度をヒトの骨格筋においてタイプ別でグリコーゲンが減少した状態で運動前後に測定した。5人の被験者は準最大下で60分間、その後最大下で20分間運動した。運動前後に外側広筋からバイオプシーした。それらは冷凍保存され、それぞれの線維に解剖された。それらの断片をATPaseで染色し、タイプⅠとタイプⅡに分けた。遊離アミノ酸濃度をPCA抽出物のHPLCを含みそれぞれのタイプで測定した。運動後、グリコーゲンはタイプⅠで53%減少し、4人の被験者はタイプⅡも同様に減少した。ほとんどのアミノ酸濃度は運動前では両筋線維タイプで同様だが、グルタミン酸アスパラギン酸、アルギニンの値はタイプⅠよりもタイプⅡで10%高かった。運動後、グルタミン酸濃度は両筋線維タイプで45%減少し、BCAAはタイプⅡで14%減少した。運動は両筋線維タイプにおいて25~30%のチロシン濃度の増加を引き起こす。この結果からアミノ酸は筋の断片から測定でき、アミノ酸代謝が運動中において両筋線維タイプで重要な役割を果たしていることがわかった。

  ヒトの筋肉は異なる収縮性、代謝特性の筋線維が混在している(Esse’n et al. 1975,Garnett et al. 1979)。ATPaseによると、線維はタイプⅠとタイプⅡに分かれる。いくつかの研究でエネルギー代謝の基質の濃度はタイプごとに異なることがわかっている。例えば、グリコーゲンとクレアチンリン酸はタイプⅠよりタイプⅡで高い値を示す。反対に、トリグリセリド濃度はタイプⅠで高い。ヒトの骨格筋におけるタイプ別の遊離アミノ酸濃度についての文献のデータはない。動物実験からは限られた情報だけ入手できる。ラットを用いたある研究では、数種のアミノ酸濃度がタイプ別に3つの筋が測定された。例えば、グルタミンとグルタミン酸の非必須アミノ酸濃度はヒラメ筋において2~3倍高く、グリシンとアラニンは腓腹筋と足底筋で30%高い。グルタミン酸とグルタミンに関する類似した研究がある。アミノ酸は両筋線維タイプを構成していてヒラメ筋は主としてタイプⅠ、腓腹筋と足底筋は主にタイプⅡで成り立っている。さらに、馬とラクダのタイプⅠのタウリン濃度はタイプⅡより高い。

 この研究の目的は、前日の晩から運動によってグリコーゲンを減少させた被験者のタイプ別のアミノ酸濃度を比較することである。さらに、疲労を伴う持久的運動がアミノ酸濃度に及ぼす影響を調べた。筋グリコーゲンの低値は運動中の筋タンパク分解を誘発する。それはつまり、グリコーゲン値が通常の場合よりも遊離アミノ酸の出現を促すことになる。

 

この研究のここがすごい!

日常的にトレーニングをしている男性を対象に筋バイオプシーしてるとこ

トレーニングしている人はなかなかバイオプシーさせてもらえない、というより本人たちがそれを嫌がる。

なんらかのパフォーマンスの低下の可能性がゼロではないし、痛みとか、トレーニングや栄養を制限されたりするのもなかなか受け入れがたい気持ちはよくわかる。

ただ、この研究は筋のアミノ酸濃度の変化をより顕著に見たかったのだろう。

アミノ酸濃度の初期値が高いトレーニングをしている人で、この実験を行いたかったのだと思う。

 

グリコーゲンが減少した状態でのトレーニングは筋タンパクの分解を促進してしまう

グリコーゲンとは、すなわちエネルギー。

ボディビルダーがトレーニング前後に炭水化物を摂取するのも、この筋タンパクの分解を最小限にしたいからだ。

もちろん、集中力の向上とか、フルパワーの発揮とか他にも炭水化物摂取のメリットはある。

せっかくきついトレーニングをしているのに、分解ばかりが進んでしまっては元も子もない。

炭水化物抜きダイエットが大流行し、あたかも炭水化物はトレーニーの敵と思われがちだが、それは間違い。

トレーニングの恩恵を余すとこなく享受したいなら、炭水化物を味方にすべきだ。

 

ダルビッシュも実践

この論文の中にこうある。

初期の(トレーニング前の)グルタミン酸が高いということは、筋タンパク分解を抑える

これも超重要。

そしてこれは、大リーガーのダルビッシュ選手も実践している。

ameblo.jp

厳密にはグルタミンとグルタミン酸は違う物質ですが、グルタミン酸は体内でアンモニアと反応し、グルタミンになる。

筋タンパクの分解抑制以外にもグルタミンメリットはあって、免疫力を高めたり(ダルビッシュ選手はこの意味で摂取している側面が強そうです)、腸の働きをよくしたり、アルコール分解を促進したりする。

ということで、アスリート以外の方にも健康に気を配っている人ならぜひ試してもらいたいサプリメントだ。

 

残念ポイント

被験者が5人しかいない

これが最大の欠点。

ま、日常的にトレーニングをしていて、筋バイオプシー、食事・運動制限を受け入れてくれる人を見つけることは相当難しいと思うので、仕方なし。

もっともっとデータが集まると強いと思います。

 

それにしても、努力が勝つとは限らないけど、「努力は嘘をつかない」ってのは真だな。

そしてもっと言うと、トレーニングは嘘をつかないし、筋肉も嘘をつかない。

すべてはアミノ酸の数値に表れる。

こんなにもピュアな世界がこの世にある、そのことを実感しながら生きていきたい

 

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